跳跃

UNESCO 登録遺産

世界記録遺産

韓国の 世界記録遺産
朝鮮王朝の儀軌 (2007)
Play

- ソウル大学の奎章閣韓国学研究院に所蔵されている546種2,940冊の各種儀軌

朝鮮王朝の儀軌

儀軌は朝鮮王朝において儒教的原理に即した国家儀礼を中心に、国家の重要行事が行われた時点で、使用された文書を定められた格式によって整理し、作成した記録物である。同じ儒教文化圏に属する中国、日本、ベトナムなどでは儀軌の体系的な編纂は確認されていない。

儀軌は朝鮮時代600余年にわたり(1392-1910)王室の主要行事、すなわち結婚式、葬礼式、宴会、使臣迎接などだけでなく、建築物・王陵の造成と王室文化活動などに対する記録が絵画によって残されており、600余年にわたる生活様子を視覚的に理解することができる資料で大変貴重なものである。

- 韓国学中央研究院蔵書閣に所蔵されている287種490冊の各種儀軌

総3,895余巻の膨大な分量におよぶ儀軌は王室の主な儀式が時期別、主題別に整理されており、朝鮮王朝儀式の変化のみならず東アジア地域の文化を比較研究、理解することができる豊かな内容を記している。特に班次図、図説など行事の様子を描いた視覚コンテンツは今日の映像資料のように立体的に生き生きとした姿を表わしている。例えば正祖の陵幸図は全旅程を15.4mにわたって表現している。このような形態(視覚中心 visual-oriented)の記録遺産はすぐれた美術の匠と史官の共同作業を通してのみ制作することができるという点で独特な特徴を持っている。

儀軌は長期間にわたり朝鮮王朝の主要儀式を膨大な量の絵画と文章で体系的に表現しており、このような類型は東西洋全世界的に類例がなく非常に優れた記録遺産の価値(outstanding value of documentary heritage)を持っている。

世界史の脈絡で儒教の重要性が低く評価されている面がある。しかし儒教は世界の小さな片隅に存在した文化ではない。儒教が支配した領土は面積でいえば西ヨーロッパよりも何倍も大きく人口においてもヨーロッパ、西南アジア及び中東を超える規模であった。儒教圏は少なくとも14世紀まで全世界を2~3個の圏域に分割した主要文化圏の一つであった。

しかし中国の場合、幾度もの蛮族の侵入と占領による時間の経過と共に、伝統意識は原型を徐々に失っていった。特にモンゴル侵入期間に儒教儀式を収録した文献のかなりの数が消滅した。これに対して韓国はそのような侵略を経験しなかったため伝統的な遺産を原型のまま保存し、千年の間真実性を壊すことなく儒教儀式を行う伝統を守ることができたのである。

儀軌は大部分の儒教社会で忘れられた過去の遺産を保存している記録である。また儀軌は小さい君主国家の記録ではなく、ひととき世界の相当部分を占めた儒教社会の伝統的な核心を示す記録である。

朝鮮王朝儀軌は2007年6月第8次ユネスコ記録遺産国際諮問委員会(6.13~15,南アフリカ共和国プレトリア)で世界記録遺産に登録された。